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遺言の効力は?遺言事項について解説
被相続人は遺言書を作成することで、自分の財産を誰にどのように承継させるかを決められます。
ただし記載内容のすべてに法的拘束力が生じるわけではなく、民法が認める範囲に限定されています。
遺言書は法定相続分を上回る強い効力を発揮しますが、有効性が認められる項目は法律で厳密に規定されています。
本記事では、遺言書の効力や、法的効力を持つ遺言事項について解説します。
遺言書の効力とは
遺言書は、亡くなった方の意思を示す書面です。
遺言書がある場合、相続人同士で行う遺産分割協議よりも、その内容に沿って手続きを進めます。
また、遺言を利用すれば、相続人以外の人や団体に財産を渡すことも可能です。
遺言書が優先される
有効な遺言書があるときは、相続人全員で遺産の分け方を話し合う遺産分割協議よりも、遺言書の内容に沿って手続きを進めます。
たとえば、不動産は長男に、預金は長女にといった具体的な分け方が書かれていれば、それに沿って財産を分けます。さらに、遺贈を使えば、内縁の配偶者や孫、法人などの相続権がない人にも財産を残せます。
遺言書の効力が発生する時期
遺言者が亡くなった瞬間に、遺言書の効力が生じます。
生きている間は一切の拘束力を持たないため、遺言者は何回でも内容を書き換えられます。
遺言書には期限が設けられておらず、作成から長い年月が経過していても、法的要件を満たせば有効性は維持されます。
複数の遺言書が発見された際は、作成日付が最も新しいものが有効です。
遺言内容を確実に実行するには、亡くなった直後から遺言執行者が迅速に動ける環境を事前に整えておく必要があります。
有効な遺言書の2つの条件
遺言書が法的に認められるには、2つの条件を満たす必要があります。
- 民法で定められた方式に従っている
- 遺言者が作成時点で十分な意思能力を有している
民法で定められた方式とは、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のいずれかを指します。
自筆証書遺言の場合、全文・日付・氏名をすべて手書きし、押印が必要です。
なお、財産目録に限りパソコンでの作成が認められています。
法的効力を持つ遺言事項とは
遺言書に何を書いても法的効力が発生するわけではなく、民法が定める遺言事項に該当する内容のみ有効です。
遺言事項は、3つの項目に大別されます。
相続及び財産に関する遺言事項
財産承継に関わる項目が、遺言事項の中で重要です。
具体的には以下の項目が含まれます。
項目 | 内容 |
|---|---|
相続分の指定 | 誰にどれくらいの割合で財産を引き継がせるか |
遺産分割方法の指定 | どの財産を誰に取得させるか |
遺贈 | 相続権がない人や団体に残したい場合 |
特別受益の持ち戻し免除 | 生前贈与を受けていた相続人が、その財産を相続計算に反映させないようにする |
遺産分割の禁止 | 最長5年の範囲で、遺産分割をしないよう禁止する |
このように、遺言書を使えば、財産の承継方法を具体的に決めやすくなります。
身分に関する遺言事項
身分関係に関わる遺言事項には、以下の項目があります。
- 認知
- 未成年後見人の指定
- 相続人の廃除とその取り消し
認知は婚姻外で生まれた子を法律上の親子関係として認める手続きであり、未成年後見人の指定は、親権者の死後に子どもの後見人を誰にするか決める手続きです。
相続人の廃除は、重大な非行を犯した相続人から相続権を奪う制度です。
また、遺言を使用して、一度廃除した相続人の相続資格を元に戻すこともできます。家族関係に深刻な影響を及ぼす項目のため、慎重な判断が必要です。
遺言執行に関する遺言事項
遺言内容を確実に実行するため、遺言執行者の指定も遺言事項として法律で認められています。
遺言執行者には以下のような幅広い権限が与えられます。
- 不動産の名義変更
- 預貯金の解約と分配
- 遺贈の実行
認知を行う場合や、遺言内容を円滑に実現するためには、遺言執行者を指定しておくことが望ましいです。
弁護士など専門家を遺言執行者に選任すれば、死後事務委任契約の受任者と役割を統一でき、迅速かつ確実に手続きを進められます。
遺言事項以外の記載について
遺言書に遺言事項以外の内容を記しても法的拘束力は発生しませんが、付言事項として相続人に遺言者の想いや配分理由を伝えられます。
付言事項の役割と活用法
付言事項には法的な強制力がありませんが、遺言者の意図や背景を相続人に説明すれば、理解を得やすくなります。
たとえば以下のような内容を記載すれば、相続争いの予防効果が見込めます。
- 長男に多額の財産を配分する理由として、長期にわたって両親の介護を献身的に担ってくれた感謝
- 家族が対立せず仲睦まじく過ごしてほしいとの願い
付言事項の注意点
葬儀の形式やペットの引き取り先を付言事項に記しても、法的拘束力がないため必ずしも実行されるわけではありません。
確実に実現したい希望がある場合は、死後事務委任契約を別に結ぶ方法が有効です。
死後事務委任契約を活用すれば、以下のような多様な実務を第三者に託せます。
- 葬儀・火葬・納骨の段取り
- 各種契約の解約手続き
- デジタル遺産の処分
遺言書と死後事務委任契約の双方を組み合わせれば、財産面と実務面の両方で万全の体制が構築できます。
まとめ
遺言書は、遺産分割協議よりも優先して扱われ、相続人以外の人に財産を残す手段にもなります。
有効な遺言書を作成するには法的要件を満たす必要があり、遺留分への配慮も欠かせません。
家族構成や財産構成が複雑な状況では、弁護士など専門家に相談したうえで公正証書遺言の作成を検討してください。
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